トニ・パキこと、アンソニー・パーキンスが死んでからもう何年たつのだろうか。
 トニー・パーキンスは、エイズで死んだ。
 ぼくより一世代上の(特に女性)にとっては青春のシンボルのようなスターであった筈の彼が、エイズで死んだ。
 今では、アルフレッド・ヒッチコック監督作品『サイコ』の主人公ノーマン・ベイツ役でしか、パーキンスは語られることがないかに見える。そのノーマン役で、彼は迫真の演技を見せた。そのことが後年彼の足枷となっていく。
 今では知る人の方が少ないけれど(ぼくだって、知ったのはずっと後だったけれど)1950年代後半から1960年トニー・パーキンス代前半の10年間は、トニ・パキがアイビー・ボーイの代表だったのだ。

 このページは、ぼくの青春時代のアイドル、アンソニー・パーキンスに捧げる。彼は実に希なパーソナリティだった。 ハンサムなアイドルではあったが、単純なアイドルを越える深い表現者であろうと常に努力していた。そして、彼は人生においても、相変わらずシャイではあっても、深い表現者であったのだ。
 そのことを少しでも書いてみたい。彼には十分に語られていない物語があると感じるからだ。